何故、とか。
どうして、とか。
理由は多分いらない。
ただ、守りたかった。
共に生まれ、同じ魂を持った半身を。
傷ついて、孤独で、もう何もかも投げ出したい、と、思った時。
ふと、よぎった、あたたかい時間、あそこへ戻る事はできなくても、
遠くから、守ることはできるから。
そして、それができるのは自分だけだという事を知ってしまったから。
兄が自分を守ってくれたように。
ならば自分は守ろう。
宇宙にひとつ、たったひとつ。
自分の育った故郷の惑星を。
母を、友を、すべての人を。
今は、もういない、兄を救えなかった分までも。
そうして、少年は旅に出た。
守るために。
その命が尽きるまで…。